涙が出なかった、墓じまい当日|罪悪感からの解放

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涙が出なかった、墓じまい当日

ある男性が語る、罪悪感からの解放

今、あなたが感じている罪悪感の重さは?
ほとんど感じない
とても重い

ご先祖様が一番悲しむのは、お墓がなくなることではなく、あなたが無理をして苦しむ姿です。

雑草だらけの実家の墓

その日、母を車に乗せて実家の墓へ向かった。年に2回、お盆とお彼岸に欠かさず参っているつもりだったが、墓地に着いて愕然とした。雑草が伸び放題で、墓石の周りは足の踏み場もない。

「ごめんね、お父さん」

母が膝の悪い足で草を踏みしめようとした瞬間、バランスを崩して転びそうになった。咄嗟に支えたが、母の体は驚くほど軽くなっていた。

「もう、限界だ」

そう思った。山口市から車で片道2時間。月に一度来られればいい方だ。来るたびに草むしりと墓石の掃除で体力を消耗し、肝心の供養の時間は10分程度。これが本当に「供養」なのだろうか。

それでも, 頭の中で別の声がささやく。

「先祖代々の墓を、自分の代で潰すのか。親不孝者。罰当たり」

車の中で母が言った。

「あなたに、こんな苦労をさせるつもりじゃなかったのよ」

その言葉が、胸に刺さった。

住職への相談

それから1週間、眠れない日が続いた。妻にも相談できず、一人で悩んだ。インターネットで「墓じまい」と検索しては、後ろめたさで画面を閉じる。そんなことを繰り返した。

意を決して、菩提寺の住職に電話をかけた。

「あの、墓じまいのことで、ご相談が……」

震える声だった。住職から叱責されるか、説教されるか、そんな覚悟をしていた。

しかし、住職の返答は意外なものだった。

「佐藤さん、供養の形は変わっても、心は変わりませんよ。大切なのは、あなたとご家族が無理なく、心を込めてご先祖様に向き合えることです」

その瞬間、涙が溢れた。電話口で男泣きした。58歳にもなって、こんなに泣いたのは何年ぶりだろう。

住職は続けた。

「離檀料なんて気になさらなくていいです。佐藤さんのご家族がこれまでお寺を支えてくださったことは、忘れません。これからも、どうか心穏やかに」

その日から、墓じまいの準備が始まった。

クレーンが吊り上げた、墓石と重荷

工事当日。朝から小雨が降っていた。

業者の方が丁寧にお墓の前でお祓いをしてくれた後、クレーンが墓石を吊り上げ始めた。ゆっくりと、先祖代々の墓石が地面から離れていく。

母と一緒に、その様子を見守っていた。

寂しさで泣くと思っていた。喪失感で胸が張り裂けると思っていた。

でも、違った。

溢れてきたのは「涙」ではなく、圧倒的な「肩の荷が降りた感覚」だった。

更地になった土を見つめていると、母が静かに呟いた。

「ありがとう。これで、あなたもお母さんも、安心ね」

その言葉を聞いて、ようやく気づいた。

母も、ずっと苦しんでいたのだ。息子に負担をかけ続けることを。

「罪悪感」だと思っていたものは、実は「自分を許せない気持ち」だったのかもしれない。でも、もう許されたのだ。住職にも、母にも, そして何より、自分自身に。

次の安心への引越し

今、父の遺骨は山口市内の納骨堂に納められている。車で15分の距離だ。

月に2回、母を連れてお参りに行く。屋内だから雨の日でも安心だし、膝の悪い母も楽に参れる。何より、清潔で明るく、心が落ち着く空間だ。

先日、母がこんなことを言った。

「お父さんも、きっと喜んでるわよ。こんなに頻繁に会いに来てもらえるんだから」

その言葉に、ハッとした。

「墓じまい」は「墓壊し」ではなかった。「次の安心への引越し」だったのだ。

あの日, クレーンが吊り上げたのは, 墓石だけではなかった。

私と母が背負い続けていた、見えない重荷も一緒に吊り上げてくれたのだ。

あなたも、もう一人で苦しまなくていいんです。

墓じまいをした98%の人が「寂しさ」より「安堵感」を感じたと答えています。
大切なのは、形ではなく、心です。

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